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- (1日目)~風邪症状で自宅療養~
- (2~3日目)~熱が下がらない、でも元気~
- (4日目)~医師の判断が下る~
- (5日目)~PCR検査~
- (最終日)~私達に求められていること~
- (後日談)~請求書や諸々の話~
妻がPCR検査を受けた(最終日)~私達に求められていること~
PCR検査を受けてから2日が経過した日、自宅に医療センターから電話がかかった。
検査結果の連絡だった。
検体採取を受けた日、検査結果が出るまでには2~3日かかると言われていた。日本のお堅い機関が2~3日と言うのだから、それは「通常なら2日」という意味に違いないと思っていた。
日本人なら誰しも身に付いているであろう「バッファーの法則」とでもいうべき感覚だが、本当に2日で連絡がきた。
知人に聞いた話であるが、その人の知人でPCR検査を受けた人も2日で連絡がきたというから、やはりそうなのだろう。
電話をとったのは1階にいた妻だった。
筆者は2階の書斎で作業をしていたのだが、電話の音を聞いて階段を駆け下りた。
妻の受け答えしか聞こえないが、内容はすぐに理解できた。
検査の結果は、「陰性」だった。肩の力がどっと抜ける気がした。ひとまずは、朗報に思えた。
わかったこと、それは「わからない」ということ
コロナウィルスの感染については「陰性」であった。しかし懸念が全て消えたわけではない。
現に、レントゲン検査では肺に何かしらの影があった。だからこそ、医師はPCR検査を打診したのだ。あの影は何だったのだろうか。
妻が電話先の医療センタースタッフに尋ねる。
「PCR検査が陰性だったということは、肺の影についてより精密な検査を受けられるのでしょうか。例えばCT検査とか…」
PCR検査を受けた日の説明では、コロナウィルスに感染している恐れがある為、まずは他の精密検査の前にPCR検査を受ける必要があるという話であった。PCR検査の結果が陰性だったのだから、当然、次のステップに進めるのだろうと思っていた。そしてすぐに胸部レントゲンに写った影の正体が明らかになるのだと思っていた。
しかし、その認識は甘かった。
医療センタースタッフはこう言ったそうだ。
「PCR検査の結果は100%ではありません。偽陰性(本当は陽性なのに、誤って陰性となる)の可能性も否定できません。」
「CTスキャン等の検査機器を感染者の方に使用した場合、消毒や感染予防等のために、他の患者様の検査に支障をきたしてしまう恐れがありますので・・・」
「今の段階では、当院としては追加の精密検査はできれば避けたいのです。」
妻から伝え聞いた話なので、一字も違えず正確に医療センター側の発言を再現できているわけではないことをご留意頂きたい。しかし、明確に消極的な姿勢を示されたことだけは確かだ。
地域の大きな医療センターが、他院からの紹介状を受けて受け入れた患者に、通常なら行うであろう検査を拒んだ。妻も筆者も少なからぬ衝撃を受けたことは、ご想像頂けることだろう。
医療は既に平常ではない
誤解はして欲しくない。筆者は本稿で医療機関や医療従事者、あるいは関係当局等、特定の誰かを糾弾したいわけでは決してない。
ただ、このコロナウィルス禍の最中、妻が体調を崩して医療にかかったという体験とそれを通じて垣間見た現状を、伝えたいと思うのみだ。
医療機関は多くの患者を抱えている。外来患者もいるし、入院患者もいる。元々抱えているそれらの人々を守らなければならない。地域の大きな医療センターであれば猶更、機能を存続し死守しなければならない。それを妨げるリスクは、回避しなければならない。
全国ですでにいくつもの医療機関が外来受付を停止している。院内感染が広がり、機能がマヒしている医療機関もある。
おそらく、気を抜けばどこでもあっという間にそうなってしまうのだろう。
だからこそ、この医療センターは妻の精密検査を回避する判断をしたのだろう。例え、PCR検査の結果が「陰性」であったとしても、僅かなリスクでも避けたいのだ。
医療は既に平常通りではない。医療現場が瀬戸際にあるということは報道等で散々耳にしているし、医師会も何度も警鐘を鳴らしている。そうしたことは既に頭に入っていて「わかったつもり」になっていたが、実際にその片鱗を見たのが今回の出来事であったのかもしれない。
妻は結局、最初に受診したクリニックで、経過観察することとなった。
その後、胸部レントゲンに写った影は心臓周辺の血管が写り込んだものである可能性もある、という医療センターの所見を聞くことができたし、クリニックの主治医からも胸の影は平常時であれば経過観察にする水準であったことも聞くことができた。
あくまでも、発熱と咳、そして目下の感染急拡大などを総合的に勘案して、念を入れてPCR検査打診の判断をしたということだった。
幸い、妻の発熱と咳は処方された薬を服用することで改善傾向にある。
無論、不安が無いといえば全くの嘘となる。不安はある。しかし、今の状況を総合的に見ると、クリニックで経過観察という措置は妥当なのかもしれない。
私達に求められていること
この一連の記事の冒頭で、筆者はこう書いた。
『きっとこの一連の記事は「結論、ただの風邪でした」や「風邪ではなかったけど、重病でもありませんでした」という結末で終わることだろう。 』
現状はそのどちらでもない。経過観察だ。
しかしこれはこれで、とても現実的な状況だなと思う。妻の健康に関する問題で、ドラマティックな展開なんてまっぴら御免である。このまま、熱が下がって症状が無くなって、何でもなかったねとなるのが一番ありがたい。
この記事を読んで下さった方にとって、何か参考となる情報を発信できたのかどうかはわからない。しかし筆者として伝えたいことはできた。
一つ目は、もし懸念がある状況に陥ったら相談センターや地域のクリニックで冷静に状況を説明すれば、必要に応じてしっかりPCR検査の判断をしてくれるということだ。 その点は安心して良いように感じた。
本稿では医療機関が平常を失っているのではないかと述べたが、しかしパニックを感じることは無かった。医療従事者は皆例外なく、自らの職責を全うするため冷静な判断を行っていると感じた。医療体制を守ることも含めてだ。
二つ目は、PCR検査を受けたとしても明確な答えは得られないかもしれないということだ。妻は結局、「陰性だけど疑いもある」という何とも中途半端な立ち位置となってしまった。そして、軽症であるが故に特別な検査や治療もなく、普通の処方薬を服用しながら自宅待機をしている。
そしてそれは、「陽性」になった場合も同じなのかもしれない。結局のところ軽症や無症状であれば特別な検査や治療もなく、これからはホテルや自宅での待機を求められるのだ。
症状が無いのにPCR検査を受けたいと思っている人がもしいるとしたら、もう一度自問してみて欲しい。何の為にPCR検査を受けたいのか。それは本当に必要なのか。
いま、日本は感染爆発の瀬戸際にあるとされている。政府からは緊急事態宣言が発出され、人との接触を8割削減して欲しいと要請されている。一部の業種では休業すら要請されている。
全ては、感染拡大の「スピードを鈍化させる」ためだ。
一説によると感染症が収束するには人口の7割が免疫を持たなければならないと言われているが、免疫を持つには一度感染するか、ワクチンの登場を待つしかない。
しかしどんなワクチンでも完成には年単位の時間がかかる。治療薬は早期に登場するかもしれないが、感染を防ぐわけではない。人類が短期間でコロナに勝つ手段は無いのだ。
結局のところ、医療機関が対応できる程度(=医療崩壊しない程度)の感染スピードを保ちつつ、ワクチンの完成を待つしかない。私達はコロナと当面の間、共生せざるを得ない。
私達に求められている様々な要請は結局のところ全て、医療の負担を軽減することに換言できる。そして、内容はすでに政府や医療関係者から提言されている通りだ。
手を洗い、3密を避け、外出せず、むやみに病院に行かない。
求められていることは初めからわかっていた。今回の体験を通じて、それを自分の言葉で理解することができた。この記事が少しでも誰かの役に立てば、幸いである。
次は…「 妻がPCR検査を受けた (後日談)~請求書や諸々の話~ 」
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KT情報ポータル運営事務局 代表・アルファ情報ポータル編集長
2018年初頭に仮想通貨と出会い、同年4月に国産コインSanDeGoの立ち上げに遭遇。以降、仮想通貨を取り巻く熱狂とバブル崩壊を目の当たりにし、「コインで持続的な楽しさを提供すること」を軸に国産コインの普及活動に邁進。SanDeGo情報ポータル、アルファフォーセット、AlphaAdService、アルファDiscord等のサービスを運営。
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